北海道新聞 2004年6月3日朝刊

増える最期の選択肢
(第一生命経済研究所研究員)

東京都内の火葬場、戸田斎場では全国に先駆け、この四月から粉骨機を導入した。
遺族立会いのもと、専用の部屋でパウダー状に粉骨する。費用は三万千五百円。ここで火葬しない遺骨も対象で、全国から問い合わせが寄せられている。
これまでも、散骨したい遺族のために、欧米製の大型のミルで粉骨してくれる葬祭業者はあったが、遺族は作業に立ち会わないのが一般的だった。粉骨するとさらさらのパウダー状になるので、作業過程をこの目で確かめなければ「これが本当に故人の遺骨なのか」と、信じ難い気分になることもある。
でも粉砕する音が大きく、ミルの形状もいかにも「業務用」という感じで、正直、遺族が立ち会って心安らぐようなものではなかった。

そもそも諸外国では、火葬に遺族が立ち会う習慣はない。後日、粉になった遺骨をとりに行くだけなので、粉骨の音の大きさや機械の見かけにこだわる必要がないのだ。
戸田斎場に導入された機械は小さな音で粉骨できるよう、独自に開発された。粉骨の過程を見ることは、遺族が肉親の死を受け入れる時間にもなる。
粉骨すれば、故人が大人の場合、全体量が四分の一程度になる。よくある大きな円柱の骨つぼではなく、小さな容器(しかも中身は粉だから、形も自由自在)に入れられるので自宅に安置しやすくもなる。お墓に納骨する場合でも、多くの人の遺骨を収納することができる。
私たちにとって、最期の選択肢が増えるのはいいことだ。