産経新聞 2004年4月18日朝刊

「粉骨の時」遺族で共有・・・変わりゆく弔い
東京の業者、新機械開発/「短時間・省スペース」で好評

葬儀や埋葬方法の多様化が進む中、東京都内の葬祭場が、遺骨を粉末にするサービスを4月からはじめた。
新しく開発された粉骨機が、遺族の見ている前で遺骨をサラサラのパウダー状にする。散骨や埋葬スペースの有効利用はもちろん、さまざまな形の骨つぼに納められるなど、従来の弔いの観念も変わってきそうだ。

サービスを始めたのは戸田葬祭場(東京都板橋区)で、二年をかけて粉骨機を開発、特許申請した。高さ八十㌢ほどの金属筒内にあるプロペラ刃が、約十分間で遺骨をパウダー状に砕く。
開発を担当した小林正樹さん(五四)は「時間がかからないことと、加工の際の音が小さいのが特長。遺族は粉骨機の前で、弔いの一過程として作業に立ち会えるようになった」と話す。
現在、散骨をする際には、遺族が金づちを使って遺骨を砕いたり、調理用ミルミキサーが使われたりしている。その場合、パウダー状にまで砕くのは難しく、一旦がかりの作業となることもある。

欧美製の粉骨機も輪入されているが、作業音が大きく、遺族感情を損なうことなどが予想され、普及していなかった。遺骨への思い入れが弱い欧美では「粉骨化の作業が弔いのプロセス」とが、機械音が大きい背景にあるようだ。
開発された粉骨機では、骨は二㍉以下の粒子にまで砕かれる。成人男性の場合、従来の骨つぼの四分の一、五分の一といった容器があれば十分に収納できる。このため、散骨以外にも、収容スペースが限られている納骨堂に、孫世代、ひ孫世代というように、多くの遺骨を収められるという。
戸田葬祭場には、多くの問い合わせが寄せられており、九州から「『散骨をしてほしい』というのが夫の遺言だった」という高齢の妻が遺骨を持ち込んだ例もあった。
葬送の問題に詳しい第一生命経済研究所の小谷みどり主任研究員は、「目の前で粉骨の過程を見ることは、遺族が肉親の『死』を受け入れるための貴重な時間ともなる。パウダー状に加工されることで、埋葬の選択肢も増える」と話している。